百まいのきもの   エリノア・エスティーズ 文  ルイス・スロボドキン 絵  石井桃子 訳


このお話は、わたしが小学生くらいの時に、読んだ覚えがあります。教科書にあったんだったか、道徳の時間だったんだか、学校図書だったのだか、ちょっとハッキリしないけれど、登場する女の子の

「ええ、100枚。戸棚の中にズラッとね」

というセリフが記憶に残っていて、本を手にとってパラパラと読んでみた時にすぐに 頭の中で結びつきました。


自分が友だちをいじめているといった自覚をもたない子。嫌だな、とは思うものの「くだらないからやめましょう」という一言が言えず、だまって見ているだけの傍観者。
仲間に加わりたい一心で、ついウソ(空想)を口にした女の子。
現実の子供の世界にありがちな、ちょっとしたからかい、あそび。

話の中心になるのは、ペギーとマディーという仲のよい女の子ふたりと、ワンダ・ペトロンスキーというポーランド人の女の子です。
ワンダというちょっと変わった名前と、大人しい性格のために、クラスではあまり相手にされていなかったけれど、あるとき、ちょっとしたことから、ワンダが「服を100枚、それもひとつひとつ違ったデザインの素敵な服を100枚、持っている」と言ってしまったことから、「きものごっこ」がはじまりました。

「ワンダさん、あなた戸棚の中に何枚服をお持ちなんでしたかしら?」

その度にワンダは 口をギュッと結んで「100枚持っている」と答えます。
あるとき学校の図画コンクールで、ワンダが一等賞を取りました。
100枚のドレスの絵を描いたのです。
ところが、ワンダ一家は、大きな町に引っ越してしてしまった後でした。いろんな人が集まっている大きな町ならば、変わった名前などといった些細な事を気にされることもないから、というお父さんからの手紙を残して。
それを知ったマディーは自分のした事に悩み、苦しみ、最後には 自分の心と向き合って、どうしたらよいか一生懸命に考える・・・といった内容です。

---ペギーは、自分達のしている事が恥ずかしいことだとは、気がつかなかったかもしれません。けれど、マディーは、悪い事だと知っていました。マディーはもし、自分がからかわれるのだったらどうかしら、と思ったものです。ワンダの身になって考えることができたのです。それなのに、何にも言わず、だまってみていて、ペギーと同じくらい、ワンダを悲しい目にあわせました----


わたしはこれを、自分の子供にも読んで欲しくて借りてきました。
マディーのように、自分の心の弱さを、しっかり見つめられる、友だちの事を思いやれる子になって欲しいと思ってます。

ところどころ、古い文体で、子供にはわかりにくいかな?と思われるところもあったけど、学校に行くようになって、ますます子供同士の世界が広がっていった時に、もう一度読んで欲しいな、と思います。

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