陰陽師 おんみょうじ  竜笛ノ巻        夢枕  獏  著


 博雅は清明と向かい合って、酒を飲んでいる。
 清明が纏っているのは、涼しげな白い狩衣である。
 清明は、紅い唇に、いつまでも含んだ酒の香がそこに残っているような
笑みを浮かべている。
 闇の中に、蛍がひとつ、ふたつ。


「虫めづる姫」から。
世間一般の姫とは違うと評判の、露子姫が言ったという「鬼と女とは人に見えぬぞよき」という言葉について、清明と博雅とが語り合っているのですが、やっぱりこのふたりの語り合いは好きだなあ。
ほろほろと飲み、ほろほろと酔う。いいですねぇ。

美しい情景描写も相変わらずですが、この物語は、さらにそれが際立っています。
「堤中納言物語」にある、当時としては一風変わった姫の話は、もともと好きだったので、なかなか面白く読みました。
この話に、呪と葦屋道満を絡めてくるとは・・・一読の価値があると思います。

        収録作品   「怪蛇」
                 「首」
                 「むしめづる姫」
                 「呼ぶ声の」
                 「飛仙」


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