涼月記             藤 水名子 著



中国は中興の時代。鄭州の山寺から都・長安にやってきた娘・慧玲(けいれい)は、洸游(こうりゅう)と出会う。繊細優美なその面貌とは裏腹に殺戮を繰り返し、人々から‘狂易之(きょうえきし)’と怖れられる魔性の男・洸游。
重い宿業を背負った男の哀しみと、彼を一途に慕うじゃじゃ馬娘の純愛。
ハードボイルド活劇ロマン!!

というような 紹介文が書いてあったのですが・・・・・この人のほかの著書を読んだ事はなかったのだけど、妙に目に付く名前だったので(「ふ」の棚に結構並べてあったから)中国を題材にした話が多いのかな。
一冊読んでみようと手にしたのがこの「涼月記」。

人々から狂易之と呼ばれ、冷酷非道に殺戮を生業とする男・李洸游の、あたかも優雅に舞を舞うかのように自然に、流れるような所作で剣をふるう姿は、中国版 眠狂四郎 とでもいった雰囲気でした。
その洸游が、太尉(宰相に次ぐ高官)である蔡嘉卿の落とし胤でありながら、少林寺に仕える寺男のもとで育てられた女の子慧玲に、妹に対するような気持ちになり、 ふといつもの彼らしからぬお節介をやいて助けたり。
闇公子と呼ばれる、先帝・憲宗の遺児、李烈にしつこく命をねらわれたり。
根底に暗い宿業を負っているためか、全体的に暗い印象があるけれども、話としてはけっこう面白かった
です。

ただ、中国ものの慣れないところは、登場人物の名前が 色々出てくる所。
たいてい 字(あざな) が付いていて、人によって呼び方が違ったりするので、ちょっと戸惑うことがあります。漢字も難しいし(^^;)
慣れてくれば、気にならなくなるし、それも物語に入り込む面白さのひとつになっていくけれども。

最後が ハッピーエンドのめでたしめでたし、で終わらないのは、なんとなく落ち着かない気分になりますね。それがいいんじゃんっていう人ももちろん多いでしょうが。
李洸游、最後の戦いが済んで、どこへともなく消えてしまったんですが、そのうちどこかでまた登場することはあるのでしょうか・・・


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