夏の王           O.R.メリング 著  井辻朱美 訳 


「妖精王の月」の続編、と書いてあったけれど、物語自体は独立しています。
時間的に「妖精王の月」の後の話になるので、その順番で読んだ方が、よりわかりやすいかもしれません。
前作の登場人物もちらっと(ほんとに一瞬だけど)出てきてくれるのも、嬉しい。


双子の妹オナーは、本や言葉や考える事が好きな物静かな少女だった。そして妖精を信じていた。
一方、姉ローレルはスポーツや体を動かす事が大好きで、妹とは正反対の性格ではあったが、お互いにとってかけがえのない存在だった。
ふたりはよくアイルランドに住む祖父母のもとに遊びに来たが、ある時、オナーが事故死してしまう。
不思議な日記を残して―――。
1年後、その死に責任を感じるローレルは、ふたたびアイルランドを訪れて、オナーの死の真相を知ろうとするのだった。
手がかりはオナーの残した日記だけ。
そこには、「彼ら」のことが書かれていた。
オナーが密かに会っていたという「彼ら」とはいったい何者なのか。ほんとうに実在するのか。単なる妹の空想に過ぎないのか・・・・

  あたしはこのためにアイルランドに来た。<あのひとたち>を見つけるために。
  そして<あのひとたち>を通じてオナーを見つけるために。


ローレルが決意をかためると、クラリコーン―オナーの日記には<おきあがりこぼしくん>とあった―が現れた。
<夏至祭>の前夜、最初のかがり火の火を灯す<夏の王>を探してほしい、という。

  これがファンタジーか現実かってことはおいとこう。
  そいでもって、あたかも信じているかのように行動して、結果は自分で判断する、というのはどうかな?
たのめるのはそれだけだ。

信じられない話ではあったが、妹の事をおもうと心が決まった。
オナーは現実の世界と妖精の世界のはざまにいて、彼女の使命をローレルがかわりにやり遂げた時、妖精国へと迎えられるというのだ。
一つの世界での死は、別の世界での誕生を意味すると信じている、と言った祖父の言葉も後押ししてくれた。
ローレルはひょんなことから行動を共にすることになった少年イアンと、海賊女王やワシの王に助けられながら、<夏の王>を探し始めるのだった。


  

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