風月夢夢 秘曲紅楼夢         藤 水名子 著


最近 何故か中国物が読みたい気分なんです。
といっても 中国史はもうほとんど記憶のかなたに飛んでいっていまってます。
学生時代には、「夏」から「中華人民共和国」まで、王朝名を暗記させられたこともあるのですが(^^;)


この本は なんとな〜く題名に惹かれるものがあって、手にとりました。
2段組475ページの大作です。
清代に発刊された有名な長編小説、「紅楼夢」が題材になっています。
「紅楼夢」は、神仙の化身である貴公子と、彼を取り巻く12人の美しい仙女が人間に生まれ変わって織りなす華やかな恋物語、それと平行して大貴族の家庭がやがて没落していくさまを描いた悲劇です。
各章の副題も、「絳珠(こうじゅ)の涙は紅塵を潤し、悼紅軒(とうこうけん) 再び幻境を彷徨う」というように、いかにも中国的な題になってます。
こういうのをみると、昔見ていた 人形劇の三国志を思い出しますね。

主人公 曹霑(そうてん)は、ひょんなことから役人に追われ、異母弟 曹雹(そうひょう)、亡き妻の妹 繁怜(はんれい)とともに蘇州の町を追われることになります。
やがて異母弟の所属している秘密組織に関わり、「埋蔵金探し」に巻き込まれていく・・・・・

曹霑は、祖父の時代には天子の覚えもめでたい名のある貴族の家系でありながら、没落して日銭をかせぐ生活に甘んじている、しがない小説書きです。
あるとき 夢で「太虚幻境」に行き、警幻仙女から幻境に伝わる12の秘曲を聞いて、それを後世、人の世に伝えて欲しいと頼まれます。
謎の美女にかかわったがために、数々の冒険に巻き込まれていくことになるのですが、実際の曹霑の体験と夢の世界(太虚幻境)、そして 女主人公 林黛玉(りんたいぎょく)の視点で書かれる「紅楼夢」の物語世界とが入れ替わり描かれていて、はじめはちょっと戸惑ってしまいました。
ただ、謎を残しながらも ぐいぐいと引っ張っていく筆力がすばらしいので、一気に読んでしまいましたけれども。

そのうちに、題材となってる「紅楼夢」のほうも読んでみたいな、と思います。
中国ではドラマ化もされて、大人気だったとか。
こちらの大元となった話を知っていれば、また違った楽しみ方もできたかもしれません。

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