ゲド戦記U  こわれた腕輪    アーシェラ・ル=グウィン 著  清水真砂子 訳



ゲド戦記 第一部では、まだ若者だったゲドの影との戦いが描かれていましたが、第二部では ゲドはすでに竜退治を成し遂げて‘竜王’となって現れました。
「和」の文字のところでふたつに割れたままだったエレス・アクベの腕輪を取り戻し、ひとつにつなげて、争いの絶えなかったアースシーに平和をもたらしました。

アチュアンの墓所。闇と静寂の世界。名なき者たちの支配する暗黒の世界。
テナーはアチュアンの墓所の大巫女の生まれ変わりとして、アルハ(喰らわれし者)となり名なき者たちに仕えます。
物語は このテナー(アルハ)の側から語られていきます。
ゲドと出会い、墓所を脱出するまで、彼女は激しく葛藤します。
テナーとして生きるか、アルハとして生きていくのか。
最後には ゲドの励ましや説得によってテナーとして困難な道を選び取り、エレス・アクベの腕輪をハブナーに持ち帰ることができたのでした。

ゲドはゲドで、名なき者たち、闇なるもの、姿なき敵と戦っていたのですが、それにはあまり詳しい描写はありません。
闇なるものは、人間のこころを「弱く」したり、希望を持てなくしたり、気をくじくというかはっきりと「敵」として姿を現しません。
それはいつのまにか心の中に入り込んで、前に進めなくしてしまうのです。
そういうことからいうと、これも前作と同様、人間の内面での葛藤・戦いを物語として具現化しているといえるかもしれません。


  

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